第一回:応募から採用決定まで
外国人を採用したい!注意すべきことは?
~外国人の応募から就労までを分かりやすく解説!~
少子高齢化により様々な業種で人手不足が叫ばれている現在、求人広告を出したら外国人が応募してきたということも珍しくありません。
外国人採用は初めてで不安、日本人の採用と何が違う?どんなことに注意すればよい?様々な疑問が出てくるかもしれません。
でも慌てる必要はありません。これからご紹介する外国人雇用のフローに沿って、採用手順や労務手続きを進めていきましょう。
第一回: 応募から採用決定まで
■外国人採用って、日本人の採用と何が違うの?
まず、外国人は、日本で仕事をするための在留資格を持っていなければ就労することができません。
外国で仕事をした経験のある方はご存知だと思いますが、日本人も外国で働く際にはビザが必要であり、その種類に従って職種や就労時間に制限があります。
日本でも同じように、持っている在留資格の種類によって、採用方法や就労期間、就労時間などが異なり、全部で30近くの在留資格が存在しています。
その中でも、公開した求人広告から外国人の応募があったという想定で考えられる在留資格として、どのような種類があるか見てみましょう。
1.技術・人文知識・国際業務
2.留学生
3.家族滞在
4.永住者・定住者・日配(日本人の配偶者等)・永配(永住者の配偶者等)等
※日本で就労できる在留資格として、ワーキングホリデーなどの「特定活動」や、2019年から始まった新設の在留資格「特定技能」や「技能実習」などもありますが、「特定活動」は割合的に少なく、「特定技能」や「技能実習」は特殊なものになるのでここでは割愛します。
このように大きく4つあります。一つ一つ、詳しく見てみましょう。
1.在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?
略して「技人国」ビザとも言われています。
技術者やオフィスワーカーとして働いている外国人が所持している在留資格で、最も多いのがこのビザです。たとえば、IT企業でのエンジニアや貿易事務、翻訳・通訳業務などです。
2. 留学生
日本の専門学校や大学、大学院などの留学生です。
「資格外活動許可」を申請し、1週間あたり28時間以内であればアルバイトなどの仕事をすることができます。夏休み、冬休みの長期休業期間中は、1日あたり8時間以内、週40時間以内の就労がOKです。
※ちなみに、留学先の学校卒業後であっても、就職活動中の間の1年間だけ、1週間あたり28時間の就労が認められています。(別途、「特定活動」という在留資格への変更のため、申請必要)
3.家族滞在
就労や留学の在留資格を持つ外国人の扶養を受ける、配偶者や子供のための在留資格です。
「資格外活動許可」を申請し、1週間あたり28時間以内であれば就労することができます。
4.永住者・定住者・日配(日本人の配偶者等)・永配(永住者の配偶者等)等
職業や就労時間に関して、制限のない在留資格です。
このように、在留資格により就労できる職種や就労時間に制限があるので注意が必要ですね!
<もし守らなかったらどうなる?>
もし28時間以内の勤務時間制限を超えて勤務してしまったなどの場合、不法滞在となり、本人は強制送還、違反した事業主には3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課せられます。特に家族滞在者の場合には、本人は強制送還の可能性もあり、家族の在留資格も更新できないなどのトラブルも発生するので、絶対に守るように気を付けてください。
■面接時に必ず確認すること
「在留カード」って聞いたことはありますか?
日本で3か月以上仕事をする資格を持った外国人であれば、必ずもっているカードです。
通常の免許証やマイナンバーなどと同じサイズで、このような外観をしています。
<在留カード 表の例>
<在留カード 裏の例>
出典:出入国在留管理庁ホームページ
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyukanri/whatzairyu.html
面接時に確認すべきアイテムや内容は、それぞれの在留資格によって異なりますが、
どの資格であっても共通して確認するものが「在留カード」になります。
<在留カードの偽変造の見分け方>
出入国在留管理庁のHPに、在留カードの偽変造の見分け方が解説してありますので
ご参考にしてください。
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/pdf/zairyu_syomei_mikata.pdf
下記は実話に基づいた四コマ漫画です。
それでは、面接時に確認するものとして、それぞれの在留資格ごとに分けて細かくみてみましょう。
1.技術・人文知識・国際業務
<確認するもの>
・パスポート → 本人確認のため。
・在留カード(就労資格証明書)→ ①有効期限②就労資格の内容 を確認
<注意!!>ビザの発行時には、学歴や実務経験、能力が厳しく審査されます。履修内容と職務内容がマッチしないとビザは発行されません。
逆にいうと、「応募対象の求人の職務内容」と応募者が持っている(または申請予定の)「技人国ビザ」の種類(技術なのか、人文知識なのか、国際業務なのか)が一致していないと、雇うことができません。たとえば、ホテル清掃のような単純作業をおこなうことが認められていませんので注意です。
2.留学生
<確認するもの>
・パスポート → ①本人確認②在留カードと同じ「資格外活動許可」が貼付されているかどうか
・在留カード → ①有効期限②裏面の許可証を確認
(裏面)資格外活動許可証の印があるかどうか確認
・学生証
3.家族滞在
<確認するもの>
・パスポート → ①本人確認②在留カードと同じ「資格外活動許可」が貼付されているかどうか
・在留カード → ①有効期限②裏面の許可証を確認
(裏面)資格外活動許可証の印があるかどうか、確認
4.永住者・定住者・日配(日本人の配偶者等)・永配(永住者の配偶者等)等
<確認するもの>
・パスポート → 本人確認のため。
・在留カード → ①有効期限②就労資格の内容を確認
確認時のポイント1:すべてコピーをして記録をとっておきましょう。
面接時に持参してもらった上記の諸々の現物は、コピーを取っておきましょう。
・パスポート → 顔写真付きのページと許可証印のあるページをコピーする。
・在留カード → 表と裏両面をコピー(裏面に記載がなくてもコピーする)
・学生証 → 顔写真の部分、在籍期間が分かる箇所が網羅されている部分をすべてコピーする。
ポイント2:在留カード情報確認はオンラインで!
在留カードについては、「失効情報照会」がウェブサイト上で可能です。
在留カードが有効かどうか、面接中でも確認できるので、オンラインで照会すると便利です。
入国管理局ホームページ内「失効情報照会」にて在留カードの番号チェック
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx
ポイント3:名前が27個?!外国人の名前が複雑すぎる場合、どうする?!
外国人の中には、通名なども含めて多くの名前を持っている方もいます。名前が27もあった事例もあるほどです!
パスポートや在留カード、学生証などの確認時、氏名の並びが異なったり、通称名が使われていたり、ミドルネームが入っていたり、、、、、どうやって確認するのか困るケースも少なからずあるでしょう。
確認時には、基本的にはパスポートを基にすると良いでしょう。そして、フリガナをふるなどで確認が必要な場合通訳も入れて、一つ一つ丁寧に本人に説明してもらうなどしたら良いでしょう。
採用時には、会社として正式にどの名前を使用するか統一する必要があります。社内では愛称を使用する、など本人の希望も考慮していくことも必要かもしれません。
さて、面接でぜひ採用したい、となった場合、次に何をすればよいでしょうか?
相互の意思によりめでたく正式採用となった場合、採用手続きに進んでください。
採用手続き、それから勤務期間中にも、外国人採用の際には日本人の場合とは異なる確認が必要になります。
次号のコラムでお伝えします!
※こちらは2020年7月時点での情報になります。個別事案等の詳細は監督官庁の最新情報をご参照ください。
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